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出てこなかったPrescott, 安くなるAthlon 64

Jの暢気なひとりごと

vol.2 2003年末、結局登場しなかったPrescottと価格もこなれてきたAthlon 64



  865が登場したあたりの時期から、当時は2003年Q4中のリリースとされていたPrescottに合わせたサブPCの買い換え (作り換え?) を考えていたのですが、その後伝えられた電力増加の問題や延期などで様子を見ているうちに機を逸してしまった感があります。中でも、"消費電力が当初の予想よりも大きくなった"と聞いてマザーを買い控えていたことが災いし、その後CPUの年内リリースもほぼ無くなり、気づいたらSocket 478のPrescottには魅力を感じなくなっていた、という状況でした。同じような思いの方も居るか (なあ…) と思います。

  現時点では、Prescottに2.80GHzと3GHzの低クロックモデルが追加されているため、865世代以降のマザーでPrescottが全くダメという状況はあまり無さそうです。それでも、Socket 478版の量産出荷が2月初めで、LGA775製品群がおそらく3月末には発表されるとなると、Socket 478版でCPUだけアップグレード、というのには少々躊躇いが…


上から下まで一気に立ち上がるハズ

  ところで、欧米地域では少量のPrescottが流通し始めているようです。現れているのは3.20GHzまでのBoxed品で、3.20GHzの価格は$500前後。ただ、在庫は殆ど (全く?) 無いようですが…  まあ、Intelはこれを以て "予定のとおり2003年中にPrescottを販売した" ことにするなるのでしょう。

  今のところ、Intelでは2月2日に800/533MHz FSB版のPentium 4E (Prescott) を2.80GHzから3.40GHzまで5製品を投入、その後に新型Celeron 2.53GHzから3.06GHzまで4製品と、P4E 3.60GHzを追加すると言われています。P4Eも3GHzまでなら$200前後とまあまあお手頃で、ちょうど約1年前の登場になる2.40C-GHzあたりをアップグレードするにはいいかも知れません。が、リプレースを考えるなら直後に登場するGrantsdaleなどのLGA775対応製品と組み合わせたいし、またハイエンド志向で3.60GHzあたりの導入を考えている場合、DDR2メモリやICH6の新機能も気になるかと思います。すると、S478版Prescottに考えられる状況は…

予想1: 対応マザーなど準備を整えて待ち続けた方が一気にアップグレード、超品薄状態になる (…かなあ)
予想2: 長く待たされたためリプレースを考える人が増加、買い控えが起こる (うーん、私がこれですねえ)
予想3: あまりに長く待たされたためAthlon 64を導入する人が増加、在庫に… (Socket 939環境が早期に整えばあるかも?)

  まあ、出荷の割合ではOEMが圧倒的に大きいでしょうし色々と考えることはできるのですが、そもそも3.40GHz以上のS478版P4Eが発表後即大量出荷されるのか、といった疑問もある訳でして…


Athlon 64: 価格、性能両面でリードするか

  さて、対するAMDは最近Athlon 64 3000+をリリースし、シングルチャネル環境 (Socket 754) であればかなりお手ごろにAthlon 64システムを導入できるようになったと思います。実際、CPU価格だけを見れば実売で3200+の半額、$230前後とリストされていて、コストパフォーマンスでAthlon XPの上-中位製品に並んだなあ、という感じです。

  このAthlon 64 3000+は、L2容量を3200+の半分、512KBに削った (ClawHammerの半分Offかな) というもの。AnandTechのレビューによれば、全体を通して3200+との性能差は小さく、MPEG-4 (DivX 5.0.5) エンコードを除き875P環境 (2xDDR400) のPentium 4 3.20GHzにも十分対抗できるパフォーマンスだとされています。Winstone 2004を用いたテストではAthlon 64 3000+のスコアがPentium 4 3.20GHzを上回ったようで、Content Creationで3%、Businessパフォーマンスで8%ほどの差が見られます。(Content Creation Winstone 2003では、3000+はP4 3GHzを0.3ポイント下回るようです。)

  ところで、IntelではPrescottの性能について、同クロックの現行P4と比べてアプリケーションベンチマークのスコアが5%ほど向上すると説明していました。ということは、Winstone 2004で見る限りの範囲において、3000+はP4E 3.20GHzとも十分やりあえると、そういう状況になるのでしょうか。

  AMDではまた、デュアルチャネルメモリをサポートする939-pin Athlon 64と、ダイを小型化したNewcastleコアをリリースする予定です。939-pinマザーは940-pin製品よりも安くなるハズで、一般的なunbuffered DDRメモリも利用可能になります。このため、939-pin CPUの価格設定によっては、Athlon 64及びAthlon 64 FXをベースにしたデュアルチャネル環境の導入コストが大きく下がることになりそうです。

  当然、939-pin製品の値段も気になるのですが…最初に投入されると見られているのはAthlon 64 FX-53で、この製品がそう安くなることは無さそうですねえ。参考までに、現在のFX-51及びOpteron 148の価格が$733、Opteron 146と144のリリース時の価格設定は$669となっていました。

  で、次に登場すると見られるのがNewcastleコアを用いた3700+ (と、可能性として3400+?) です。リリース時期はQ1末-Q2早期と言われているので、Prescottの3.60GHzが投入される頃でしょうか。その時期のP4E 3.60GHzは$637、3.40GHzは$417と伝えられており、3700+と3400+もほぼ同額になるのではないかと。AMDはNewcastleコアでダイサイズを150sqmm程度まで小型化したと言っているようなので、急速な低価格化は無いとしても、Prescottの価格推移に対抗していったときにAMDが圧倒的に不利な状況にはならないと思います。また、デュアルチャネル対応とHyperTransport FSBの高速化でモデルナンバーが大きく変わらなければ、性能面では上記の3000+とP4 3GHz/3.20GHzと同様の関係がそのまま3700+と3.60GHz/3.80GHzないしは3400+と3.40GHz/3.60GHzに持ち上がる、ということになるのかも…


_____

あとがき

  確か2002年の初め、Northwoodリリース直後に2.20GHz+850+デュアルPC800で組んだものの、2.6GHz超までオーバークロックしてもデュアルPIII-S機 (現在メイン機) のスコアに及ばないという滅多に無い経験をさせていただきました。2年経って登場するPrescott、薄型microATXにしたいのに今度は熱そう… いっそのこと、Winchesterが出るまで待ち続けてしまうほうがいいのでしょうか。939-pinのDX9クラス統合microATXマザーなんて少ないだろうなあ…

  そういえば、AMDの90nm製品群は今のところ、130nm製品の光学縮小版と言われていますね… もしかしたら90nm世代では、"Athlon 64はP4Eより低消費電力が売り"なんてことに...

J, 2003年12月28日,29日公開



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